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タレント安井南の「スタバ卒業」が波紋 燃えた理由は投稿内容より言い方、見え方

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安井南 X公式アカウントより

女優・インフルエンサーの安井南がXに投稿した「スタバ店員卒業!」の一文が、祝福と反発の両方を呼び、週末にかけて広く拡散した。発端になったのは、スターバックスでのアルバイトを終えたことを報告した本人投稿である。そこに不祥事や勤務トラブルの告発があったわけではなく、火種になったのはあくまで「バイトを卒業と表現する感覚」だった。今回の件は、安井南個人の好き嫌いだけでなく、労働の語り方とブランドへの距離感がぶつかった騒動として見たい。

 

安井南とは誰なのか

ミス日本公式サイトによると、安井南は2024ミス日本ファイナリストで、下水道広報「水の天使」にも選ばれた人物。神奈川県出身の大学生である。趣味はタップダンスやテニス、木刀素振り、特技は古武術、空手、剣道と多彩で、将来の希望には「俳優」を掲げる。所属先のプロフィールでも、水循環や建設業界との仕事経験が多いことが紹介されており、単なる学生ではなく、すでに一定の発信力を持つ立場にある。だからこそ、何気ない報告が普通の退職報告以上の広がり方をした。

ポストの何が引っかかったのか

本人の投稿では、高校3年から働き始め、最初は週3だった勤務が、活動の多忙化で長期の休みや週1の休日勤務になっていったこと、そこで多くを学んだこと、そして「決めてた目標をクリアしたから、卒業」と書かれていた。文面だけ見れば、長く続けた仕事への感謝と区切りを述べた内容である。だがSNSでは、この「卒業」という言葉が強い反発を呼んだ。学校でもない、資格でもない、時給労働の終了をなぜ「卒業」と呼ぶのかという違和感が、一気に可視化されたのである。

 

反発が集まった理由

批判的な反応で目立ったのは、「スタバのバイトだけ特別扱いされているように見える」という受け止めである。実際に拡散した投稿の中には、「スタバなんてそこら辺のバイトと変わらないんだから卒業とか言う言葉いらん」「この人週一やし」といった、言葉の選び方そのものに違和感を示す声があった。また、「ドトールやエクセルシオール、タリーズのバイトは同じことをしないのに、スタバだけ妙に特別感がある」という比較も伸びており、スターバックスというブランドイメージに絡めた自己演出性への反発が前面に出ていた。

この種の反応が膨らみやすいのは、スターバックスが単なる飲食チェーンではなく、接客や働き方まで含めた“感じのいい仕事”として消費されやすいからでもある。そこに芸能・ミスコン・インフルエンサー的な文脈が重なると、祝福の投稿であっても、一部には「きれいに盛られた労働」に映る。その温度差が、今回の摩擦の中心にあった。

擁護の声もかなり多かった

ただし、反応は一方向ではない。擁護側で伸びた投稿には、「バイト辞めることを卒業って言うことが気に入らない人多すぎてオモロい。別にどっちでもよくね」「なんで普通に祝福してあげられないのか」といったものがあり、言葉尻に過剰反応することへの違和感が目立った。また、「頑張った人に『卒業おめでとう』くらい言わせてあげればいい」という声も拡散している。要するに、本人が自分の区切りをどう名付けるかまで他人が管理しようとしているように見え、そのこと自体に反発した層も少なくなかった。本人も「バズったので宣伝です」と告知ポストをぶら下げ、たくましく騒動を利用している。

ここで見えてくるのは、今回の騒動が「安井南はけしからん」でまとまったものではないという点である。むしろ、ほんの数語の投稿に対して、過剰に棘を見いだす側と、そこまで噛みつく必要はないと考える側が、同時にかなりの熱量でぶつかった。話題化したのは発言の悪質さというより、受け手の側にある労働観や階層感情が刺激されたからだと言ったほうが近い。

 

論点はSNS時代の見え方にある

本件に「スタバ」のブランドイメージが影響したことは間違いないが、企業対応が問題になったわけでも、店舗での具体的トラブルが告発されたわけでもない。争点は、安井南が自分の経験をどう言語化したか、そしてその言語化がどれだけ他人の感情を逆なでしたかにあった。2月にはENCOUNTが、安井南が“現役スタバ店員”であることを取り上げ、驚きや好意的な反応を伝えていた。つまり、これまでは「可愛すぎるスタバ店員」的な見られ方がプラスに働いていた側面もあったが、今回は同じ要素が逆回転し、嫌味で鼻につくと受け止められた。

SNSでは、仕事の報告はすぐ自己演出として読まれ、批判する側の投稿もまた別種の自己演出として拡散される。だから、今回のように本人は感謝と区切りのつもりで書いた言葉でも、受け手によっては特権意識やキラキラ感の誇示に見える。そのずれが小さく済まず、論争として膨らんだ。働くことの価値観の違いを露出させた事例と言えそうだ。

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ライター:

東京都出身の音楽家。こちらはライターとしての世を忍ぶ仮のペンネーム。平易な言葉で情緒的な文章を書く。対象の思いを汲み取り、寄り添うことを重視。少年期より難病を持ち、弱者への眼差しが裏テーマ。自分の頭や心を使って、形のない美しさや優しさを世の中にひとつずつ増やしたい。書きもののほか、BGM、テーマソング、賑やかし、癒やしなど、音楽全般も承り〼。

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