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神奈川県立高校暴行動画炎上 生田東高校「いじめ非該当」判断で再炎上と警察チラシへの批判

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神奈川県警 少年育成課

いじめや暴行の瞬間を記録した動画が、SNSを通じて拡散され続けている。目を背けたくなる映像の多くは、単なる過激な投稿ではなく、学校や行政が内部で処理し切れなかった問題の「結果」として世に出ている。
2026年2月、神奈川県内で相次いで表面化した一連の学校関連スキャンダルは、県立生田東高校で発生した生徒間暴行事件と、警察が配布したSNS中傷防止チラシを軸に、教育現場と行政への深刻な不信を呼び起こした。SNSが暴いたのは、暴行そのものだけでなく、事後対応の在り方と、被害者が置き去りにされる構造だった。

 

生田東高校で起きた暴行事件と「いじめ非該当」判断

事件が起きたのは、神奈川県川崎市多摩区にある県立生田東高校である。2025年12月9日、校内の男子トイレに生徒が集まり、「けんかの仕方を教える」という名目のもと、体当たり、殴打、蹴りといった行為がエスカレートした。集まっていたのは主に1年生で、人数は13人に上る。

拡散された動画は約27秒。複数人が1人の生徒を囲み、逃げ場のない空間で暴行が繰り返される様子が映っている。周囲からは笑い声や煽るような声が聞こえ、制止する空気はほとんど感じられない。結果として被害生徒は右手を骨折し、日常生活や学業にも支障が出る重傷を負った。

学校側は当日中にトラブルを把握し、関係生徒への聞き取りを行ったと説明している。その上で「双方が手を出した」「一方的ないじめではなく、けんかだった」と判断し、指導で終了させたとした。神奈川県教育委員会も2026年2月6日、「いじめなどではない」「調査と指導は終了している」と公式に発表している。

しかし、この説明は多くの疑問を残した。人数差があり、逃げ場のない空間で行われた暴行を「けんか」と呼べるのか。骨折という結果が出ているにもかかわらず、懲戒や警察への通報に至らなかった理由は何なのか。学校と教育委員会の判断は、形式的な定義を優先し、被害の実態を軽視しているようにも映った。

 

動画拡散が招いた世論の反発と学校対応への疑念

動画がX上で拡散し始めたのは、2026年2月5日頃とされる。映像の視覚的インパクトは強く、複数対1人という構図は、説明を読まなくとも集団暴行と受け取られやすい。投稿は急速に拡散され、「これはどう見てもいじめだ」「骨折しているのに指導で終わりなのか」といった声が相次いだ。

特に批判を集めたのは、学校側の初動対応である。被害者関係者によると、学校からは動画の削除や口外を控えるよう求められたとの情報が広まり、「隠蔽ではないか」という疑念が一気に強まった。被害生徒が個別授業対応となった一方で、加害者側に目立った処分がないとされる点も、不均衡感を助長した。

また、事件発生から約2か月が経過してからの公表というタイミングも、批判を強めた要因となった。SNSでは「拡散されなければ公表されなかったのでは」「世間の目がなければ終わっていた案件だ」という声が広がり、学校と教育委員会への信頼は大きく揺らいだ。

県教育委員会は、他の県立高校でも類似の動画や画像がSNSに出回っていることを把握しているとし、各校に生徒の安全確保を指示したと説明している。しかし、その説明も「二次被害防止」という言葉の裏で、拡散行為そのものを問題視しているように受け取られ、火消しには至らなかった。

 

神奈川県警の「SNS中傷防止チラシ」が火に油

こうした緊張感の高い状況で注目を集めたのが、神奈川県警少年育成課が作成し、学校現場で配布していたSNS中傷防止チラシである。チラシの目的は、SNS上での誹謗中傷や名誉毀損を防ぐ啓発とされている。

しかし、そのビジュアル表現が大きな問題を呼んだ。チラシでは、いじめや暴行の現場を撮影する生徒が大きく、加害者側が泣いているように見えるイラストが配置され、「撮影・拡散が相手を傷つける」というメッセージが強調されていた。

この構成は、「何を一番問題視しているのか分からない」「暴行そのものより撮影が悪だと言っているように見える」と受け止められた。生田東高校事件の文脈と重なったことで、「学校が動かないから拡散されるのに、拡散を責めるのは筋違いだ」という反発が一気に噴き出した。

 

SNS上で広がる行政不信と炎上の構図

X上では、チラシを批判する投稿が連鎖的に拡散した。

いじめ問題を扱うアカウントの投稿を起点に、多くのユーザーが「被害者視点が欠けている」「印象操作が強すぎる」と反応。短時間で数十万規模の閲覧を記録し、炎上状態となった。

反応は大きく分けて複数の層に分かれた。最も多かったのは、加害者擁護に見える表現への怒りである。「なぜ泣いているのが加害者なのか」「被害者はどこにいるのか」といった疑問が相次いだ。次に、教育委員会と警察を一体の存在として捉えた行政不信である。「現場も上も同じ体質ではないか」という声が目立った。

一方で、「拡散による二次被害も問題だ」という慎重論も存在した。ただし、これらの意見にはすぐに「まず一次被害を止めるべきだ」「証拠がなければ動かない現実を無視している」という反論が付き、主流にはならなかった。

テレビ朝日や神奈川新聞などが報じたものの、全国的な大報道には至らず、SNS主導で議論が進んだ点も特徴的だった。

 

被害者保護の視点から見た根本的な課題

今回の問題の根底にあるのは、公式機関の優先順位のずれである。

学校や警察は、秩序維持やトラブルの拡大防止を重視するあまり、被害者が置かれている現実を後回しにしてきたとの見方が強い。

神奈川県は、いじめ認知件数や不登校、暴力行為の多さが以前から指摘されてきた地域である。それにもかかわらず、「傷害事件だからいじめではない」といった形式的な整理が繰り返されてきた。警察のチラシも、名誉毀損防止という目的自体は理解できるものの、証拠を残す行為を萎縮させかねない内容となっていた。

被害者が学校や警察に相談しても守られないという認識が広がれば、SNS拡散が最後の手段になる。その行為を一律に否定する啓発は、結果として被害者をさらに孤立させる危険性を持つ。

生田東高校の暴行事件と警察チラシを巡る一連の炎上は、教育現場と行政が抱える構造的課題を浮き彫りにした。SNSの力で問題が可視化される時代において、批判を抑え込む姿勢は逆効果となる。

求められているのは、透明性のある調査と説明、そして被害者を起点にした対応である。第三者機関の介入、匿名通報制度の強化、啓発物の表現見直しなど、具体的な改善策を積み重ねなければ、不信の連鎖は断ち切れない。
いじめを単なる校内トラブルではなく、社会全体で向き合うべき問題として捉え直す時期に来ている。

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ライター:

千葉県生まれ。青果卸売の現場で働いたのち、フリーライターへ。 野菜や果物のようにみずみずしい旬な話題を届けたいと思っています。 料理と漫画・アニメが大好きです。

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