
一度は静まったはずのインフルエンザが、再び街に広がっている。
年明け以降、感染者数は右肩上がりとなり、今季2度目となる流行警報が発出された地域も出てきた。特徴的なのは、今回の主役がB型である点だ。
昨秋から初冬にかけて猛威を振るったA型が落ち着いた後、じわじわと存在感を強めてきたB型。派手な高熱や急激な悪化が目立つA型とは異なり、B型は微熱や倦怠感など、比較的軽い症状で始まることが多い。そのため、「ただの風邪だろう」と思い込み、受診が遅れるケースも少なくない。
しかし、その“油断”こそが、今回の再拡大を招いた一因ともいえる。
なぜB型は「後から」流行するのか
インフルエンザB型は、A型ほど頻繁に大流行するわけではない。一方で、A型の流行によって人々の警戒心が緩んだ頃に、静かに広がる傾向がある。
今季も、A型流行のピークを越えた後、人の移動が増える年末年始を挟み、B型が徐々に拡散した。さらに、空気の乾燥が進む冬本番の気候条件も重なり、感染が拡大しやすい環境が整ってしまった。
B型は地域的に広がることが多く、気付いた時には学校や家庭内で一気に感染が進んでいるそんな構図が、各地で見られている。
「軽症が多い」は本当か
B型は比較的軽症と言われることが多い。確かに、突然40度近い高熱が出るA型に比べると、症状が穏やかに見えるケースは少なくない。
だが、軽症に見えるからといって安心はできない。症状が長引きやすいのもB型の特徴で、体力を奪われた高齢者や基礎疾患のある人では、思わぬ重症化につながることもある。また、自覚症状が乏しいまま日常生活を続けてしまうことで、周囲への感染が広がりやすい点も問題だ。
流行の中で考える治療の位置づけ
現在、日本では複数の抗インフルエンザ薬が使用されており、A型・B型のいずれにも効果が認められている。治療の目的は、ウイルスの増殖を抑え、症状の回復を早めることだ。
ただし、B型が流行している今、重要なのは「誰もが必ず薬を使うべきか」という視点である。重症化リスクの高い人や、呼吸器症状が強い場合には、早期の治療が勧められる。一方で、全身状態が良好な軽症例では、必ずしも抗インフルエンザ薬を使わず、経過を観察する判断もあり得る。
近年は、服用回数が少なく済む薬剤が選択される場面も増えているが、それは流行の中心がB型であること、そして軽症例が多いという背景と無関係ではない。
再拡大を防ぐために必要なこと
今回の流行で改めて浮き彫りになったのは、「もう流行は終わった」という思い込みの危うさだ。一度ピークを越えても、インフルエンザは形を変えて戻ってくる。
B型の再拡大を防ぐには、治療薬以上に、日常の行動が重要となる。手洗いやマスクの着用、室内の加湿といった基本的な対策を、流行が落ち着いた後も続けることが、結果的に感染拡大を抑える近道となる。
「第2波」は想定外ではない
今季2度目のインフルエンザ流行は、決して偶然ではない。A型の後にB型が広がるという流れは、これまでも繰り返されてきた。
症状が軽いからと油断せず、流行の動きを正しく理解すること。必要な人には適切な治療を、そうでない場合は無理のない対応を選ぶこと。その積み重ねが、次の拡大を防ぐ鍵となる。



