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ルーブル美術館、外国人入館料45%値上げへ 「二重価格」導入で約5900円、その理由とは

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ルーブル美術館
PhotoACより

世界で最も多くの人が訪れる美術館が、ついに一線を引いた。フランス・パリのルーブル美術館は2025年1月14日から、居住地によって入館料を分ける「二重価格」を導入。ヨーロッパ以外からの観光客は入館料が45%引き上げられ、日本円でおよそ5900円となった。

背景にあるのは、老朽化する建物と限界に達した混雑、そして文化財を次世代へ守り継ぐための資金不足だ。賛否を呼ぶこの決断は、世界の観光地、そして日本にも重い問いを投げかけている。

 

 

ピラミッドの下で起きた“静かな転換”

冬のパリ。セーヌ川から吹く冷たい風の中、ガラスのピラミッド前には朝から長蛇の列ができていた。行列の先に広がるのは、誰もが一度は名を聞いた世界最高峰の美術館。そのルーブルが、この日から新たな料金体系へと舵を切った。

ヨーロッパ以外からの訪問者の入館料は、従来の22ユーロから32ユーロへ。数字だけを見れば大幅な値上げだが、その決定は突発的なものではない。長年積み重なってきた「限界」が、ついに表面化した結果だった。

 

なぜ今、二重価格なのか

ルーブルの来館者数は年間約900万人。その約7割がEU域外から訪れる観光客とされる。とりわけ「モナリザ」の展示室周辺は、昼夜を問わず人であふれ、身動きが取れない状態が常態化していた。

近年は窃盗事件や漏水被害も発生し、警備体制や施設管理の脆弱さが露呈した。こうした状況を受け、フランス政府は大規模改修計画を進めている。その財源の一部を賄うのが、今回の値上げだ。増収分は年間最大2000万ユーロに達すると見込まれ、老朽化対策やモナリザ専用展示室の新設に充てられる。

 

「高い」のか、「それでも安い」のか

現地で話を聞くと、受け止め方は分かれる。
「タイミングが悪い」と肩を落とす観光客がいる一方、「この展示内容で5900円なら安い」と断言する来館者もいる。実際、数万点に及ぶコレクションを数時間で体験できる価値を考えれば、決して高額とは言い切れない。

ただし、労働組合は「観光客の分断を生む」として反発。料金差への不公平感を訴える外国人観光客の声もあり、議論は続いている。

 

フランスから世界へ、日本へ

二重価格の導入はルーブルだけではない。ベルサイユ宮殿や凱旋門でも同様の制度が始まった。世界に目を向ければ、インドのタージ・マハルやエジプトのピラミッドなど、すでに一般的な仕組みとなっている例も多い。

「税金で維持されている公共施設を、納税していない観光客が同じ価格で利用するのは妥当なのか」。この問いは、オーバーツーリズムに直面する都市が共通して抱える課題だ。

 

日本に突きつけられた問い

この動きは、日本にとっても無縁ではない。国立博物館や観光地、さらには飲食店でも「外国人価格」を巡る議論が加速している。公的施設であれば「納税者優遇」という理屈は理解されやすいが、民間では説明不足がトラブルを招くケースもある。

ルーブル美術館の二重価格は、単なる値上げではない。文化財を守り、観光を持続可能なものにするための選択だ。その是非をどう受け止めるのか。日本社会もまた、同じ問いに向き合う局面に立たされている。

 

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ライター:

広告代理店在職中に、経営者や移住者など多様なバックグラウンドを持つ人々を取材。「人の魅力が地域の魅力につながる」ことを実感する。現在、人の“生き様“を言葉で綴るインタビューライターとして活動中。

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