
年末年始の大型連休が始まった直後、高速道路を利用する人々に大きな衝撃が走った。12月26日夜、群馬県内の関越自動車道で発生した多重事故は、67台の車両が絡む大規模事故となり、2人が死亡、26人が負傷した。雪によるスリップが引き金となったとみられ、通行止めは長時間に及び、年末年始の交通に深刻な影響を与えている。
年末の関越道で発生した連鎖的な多重事故
事故が起きたのは12月26日午後8時12分ごろ。場所は関越自動車道の湯沢インターチェンジと月夜野インターチェンジの間で、片側2車線の直線区間だった。当時、現場周辺では雪が降り続いており、路面状況は著しく悪化していた。
警察によると、走行中の中型トラックが雪でスリップし、単独事故を起こしたのが最初のきっかけとみられている。そこへ後続の大型トラックが追突。さらに、事故車両を避けようとした乗用車やトラックが次々とガードレールや中央分離帯に衝突し、瞬く間に複数台が絡む事故へと発展した。
関係した車両はトラックや乗用車など計67台に上り、そのうち20台が炎上。夜間の雪道という条件も重なり、現場は一時、視界を遮る煙と炎に包まれた。
死者2人、負傷者26人という深刻な被害
県警の発表によると、この事故で東京都調布市の女性(77)が死亡したほか、全焼した大型トラックの運転席から性別不明の遺体が見つかった。これにより、死者は2人となった。さらに、26人が負傷し、うち5人が重傷、21人が軽傷とされている。
事故の衝撃は大きく、車内に閉じ込められた人も少なくなかったという。年末年始の帰省や旅行の途中で事故に巻き込まれたケースも多く、突然の出来事に戸惑いと不安を抱えた人々の姿が現場で確認された。県警は現在も身元の確認や事故原因の詳しい分析を進めている。
通行止めが長期化する関越道と広域迂回の影響
事故を受け、NEXCO東日本は同日夜、関越自動車道の湯沢ICから月夜野ICまでの上下線で通行止めを実施した。通行止めは事故発生直後から続いており、翌日以降も解除の見込みは立っていない。
同社は、上信越自動車道や磐越自動車道などへの広域迂回を呼びかけているが、年末年始の交通集中と重なり、各地で渋滞や移動時間の大幅な増加が懸念されている。高速道路網全体に影響が波及し、物流や観光への影響も避けられない状況だ。
最大700メートルの車列と9時間に及ぶ解消作業
事故現場では、後続車両が次々と足止めされ、車列は最長で約700メートルに達した。NEXCO東日本は、上り線を活用して車両を誘導し、近くの月夜野ICから一般道へ降りてもらう対応を取った。
しかし、雪と夜間という厳しい条件の中で作業は難航した。26日深夜には、足止めされたドライバーらに対し、軽食や水、携帯トイレといった支援物資が配布された。寒さの中で長時間待機を余儀なくされた人々にとって、こうした支援は大きな支えとなった。車列が完全に解消されるまでに要した時間は約9時間に及び、現場対応の過酷さを物語っている。
雪道運転が突き付けた教訓と年末年始の警鐘
今回の事故は、雪道での高速道路走行がいかに危険と隣り合わせであるかを改めて浮き彫りにした。わずかなスリップが連鎖的な事故を引き起こし、多数の死傷者を生む結果となった。
スタッドレスタイヤの装着やチェーンの携行、速度を抑えた運転、車間距離の確保といった基本的な対策に加え、天候や道路状況によっては利用を見合わせる判断も重要になる。年末年始は気持ちが先行しがちだが、命を最優先にした行動が求められる。
警察と高速道路会社は、事故原因の解明とともに、再発防止に向けた注意喚起を強化する方針だ。関越道で起きたこの事故は、冬の高速道路利用に対する社会全体への警鐘として、重く受け止める必要がある。



