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中居正広なき「珍プレー好プレー」に広がる喪失感 テレビ欄“縦読み”は長嶋さんへの静かな追悼だった…

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中居正広
DALLーEで作成

スタジオに流れる歓声は、例年と変わらぬはずだった。しかし、画面に映るテロップから“あの名前”が消えていることに気づいた瞬間、視聴者の胸にふっと風が吹き抜けた。

4日に放送されたフジテレビ系「プロ野球珍プレー好プレー大賞2025」。長年、野球ファンの年末を彩ってきた中居正広氏の冠が外れ、今年の番組はどこか静けさをまとっていた。SNSには「寂しい」「物足りない」といった声が重なり、番組の空気にかつての彼の存在がいかに染み込んでいたのかを浮かび上がらせた。

 

 

“空席”のまま始まった恒例特番

球場のざわめきを模した効果音が流れ、例年と同じテンポで映像が切り替わっていく。だが、司会席の中央に中居氏の姿はない。
進行を務めるアンタッチャブルの2人が軽快に番組を温めていく一方で、画面のどこかに空白のようなものが漂っていた。視聴者のSNSには放送前からそわそわとした投稿が並んだ。

「もしかしてサプライズ登場あるのでは」
「今日だけ戻ってきてほしい」

その期待が叶わないと分かった瞬間、静かなため息がタイムラインに広がっていく。

 

テレビ欄に忍ばせた“縦読み”のメッセージ

特番が終盤に差しかかる頃、SNSをにぎわせたのは意外な方向だった。
新聞の番組欄を縦に読むと、「野球選手の鑑ミスタ1ありがとう&お疲れさまです」(原文ママ)と浮かび上がる。

今年亡くなった長嶋茂雄さんへの追悼の意図をにじませた文面に、視聴者の間からは驚きと温かい共感の反応が走った。

“ミスター不在の年、その縦読みの余白に、番組を支えた中居氏の姿まで重なって見えた”
そんな投稿もあり、まさに「静かな追悼」と「静かな喪失」が同じ紙面に寄り添う夜となった。

 

テレ朝「プロ野球総選挙」でもよみがえった“もしも”

同じ週、テレビ朝日で放送された「プロ野球総選挙」でも、中居氏の不在は別の角度から語られていた。
MC席には爆笑問題とウエンツ瑛士。ランキングが読み上げられるたび、視聴者は過去の記憶を呼び起こした。

「ここに中居くんがいたんだよな」
「WBCのとき、グラウンドレベルで熱く語ってた」

当時、中居氏は侍ジャパンの“公認サポートキャプテン”として数々の取材に立ち会い、番組の空気を引き締めていた。その記憶だけが、今も野球ファンの年末に残り続けている。

 

現役選手500人が選ぶ“本物の守備の名手”

一方、今年の「珍プレー好プレー」では、現役選手約500人の投票によって“守備の達人ランキング”が発表された。
球場の土のにおい、スタンドのざわめきまで伝わるような映像を背に、3人の名手が紹介される。

3位・周東佑京(ソフトバンク)

ボールが飛んだ瞬間に画面から消えるような俊足。
「全部アウトにされる」「全部捕られる」と敵味方を問わず震わせた。

2位・田中幹也(中日)

わずか166センチの体が、まるで球場全体を覆うかのように広く動く。
「ヒットゾーンが狭い」「まねできない体の使い方」と評された。

1位・滝沢夏央(西武)

草をかき分けるような滑り込み、最後の一歩で伸びる右腕。
「抜けたら終わりの場面ですごい」「サヨナラを阻止した男」と称えられ、圧倒的な93票での首位となった。

選手の言葉一つひとつが、グラウンドの空気をそのまま伝える今年のハイライトとなった。

 

“消えた名前”が残した静かな余韻

今年のスポーツ特番から中居氏の名が外れて丸一年。
番組の構成は変わらずとも、視聴者の心のどこかには、あの頃の時間が残っている。

球場のベンチから選手を見つめたときの視線。
大事な場面のスタジオ解説に走る緊張感。
時に茶化しながらも、野球への愛情が滲む言葉。

視聴者が恋しがっているのは、単なるMCの不在ではなく“番組とともに過ごした時間そのもの”なのかもしれない。

 

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ライター:

広告代理店在職中に、経営者や移住者など多様なバックグラウンドを持つ人々を取材。「人の魅力が地域の魅力につながる」ことを実感する。現在、人の“生き様“を言葉で綴るインタビューライターとして活動中。

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