
暴露系Xアカウント「DEATHDOL NOTE」(デスドルノート)を運営する磨童まさを氏に、正式な損害賠償請求が届いたことが明らかになった。本人が11月19日、XおよびInstagramのストーリーで書類の写真を公開した。
ストーリーには、件名が「受任通知」、宛先が「小坂真郷様」と記された、損害賠償請求に関する書面の画像が投稿された。損害賠償請求における受任通知とは、弁護士が依頼者の代理人になったことを相手方に知らせる書面のことである。差出人はモザイクで隠されており不明。
そのストーリーには、
「損害賠償請求が届きました。今後はストーリーのみでの情報発信となります。フォローよろしくお願いします」
とのコメントが添えられていた。
ゴシップ情報の発信活動そのものをやめるのではなく、あくまでX(旧Twitter)の投稿のみを停止し、Instagramのストーリー限定で情報発信を続ける方針と見られる。
“辞めジャニ”暴露主の急激な影響力拡大
— 芸能界・メディアも無視できない存在に**
磨童氏は、自身が元ジャニーズ所属の「辞めジャニ」であると公言しており、内部事情を知る者として、芸能界周辺のスキャンダルを連日投稿してきた。
2024年以降、DEATHDOL NOTEの影響力は加速度的に拡大。
「ノートに名前を書かれた者は死ぬ」という設定の人気漫画『DEATH NOTE』を模して、「【知名度A】〇〇〇〇 備考:〜〜〜 」と、知名度と名前(ぼかす場合もあり)とゴシップ概要を記載した投稿がXで爆発的に拡散され、実際にタレント契約解除や番組の自粛に繋がったケースも複数指摘される。
フォロワー数が増えるにつれ、本人の“力の均衡”が崩れていく様子も見られた。
日に日に増す影響力に、テレビ番組・芸能界の動きも変化
これまではアルファツイッタラー・インフルエンサーといった形だったが、デスドルの暴露によって謝罪や事務所解雇に追いやられるなど、その影響力は日に日に増している。
直近ではテレビ東京『あちこちオードリー』にて、お笑いトリオ・ジャングルポケットの太田氏が「デスノートをフォーマットにしているデスドルノートという暴露系アカウントがある」と磨童氏に触れ、相方のおたけ氏のプライベートが暴露されたと発言。
その後、該当回の配信が突然停止された。地上波のテレビ番組でデスドルノートについて触れる発言があったこと自体も話題になったが、突如配信が停止になったということでこの件はさらに炎上し、芸能界もDEATHDOL NOTEを無視できない存在になりつつあることを示す出来事となった。
有料メンバーシップによる収益モデル 暴露発信がビジネスに
さらに注目すべきは、運営者の DEATHDOL NOTE が、単なる投稿メディアではなく有料メンバーシップ形式で収益を得ている点だ。
同サービスの案内によれば、月額980円の「リューくんプラン」、2,980円の「天音ミサプラン」等、段階的な有料プランが設定されていることが確認できる。
メンバーになると「質問に優先的に回答」「メンバー限定投稿」「DMで常時タレコミ確認可能」などの特典がうたわれており、フォロワー・タレコミ提供者との双方向性を収益と結びつけた仕組みが浮かび上がる。
このような構造は、
・投稿内容が影響力を持つことでフォロワーを集め、
・フォロワーを有料会員化し、
・タレコミや裏情報の“商用化”が進む、
という“暴露文化のマネタイズ化”を示しており、いわば“スクープ”と“商品化”の境界が曖昧になっていると言える。
熱狂と恐怖が交錯する暴露文化 スクープと私刑の線引き
DEATHDOL NOTEアカウントには、確かにこれまで正しい情報を含む投稿もされてきた。しかし、匿名での暴露文化が加速することで、次のような危険性が常に付きまとってきた。
● 私刑(ネットリンチ)の温床になる危険性
確証が薄い段階の“匂わせ”投稿でも、Xの拡散力によって個人の社会的生命が瞬時に傷つく。
● スクープの名を借りた誹謗中傷の扇動
フォロワーが多い“暴露系”が一文を投稿するだけで、ファンコミュニティ同士の抗争やタレント叩きが加速。
● デマの流布と、検証不在のまま走る世論
暴露のスピードが上がるほど、ファクトチェックの重要性が軽視され、事実か否かに関係なく炎上する構造ができ上がってしまう。
今回の損害賠償請求は、こうした暴露文化の臨界点を象徴する出来事ともいえる。
X活動停止は序章か? SNS社会が向き合うべき根本的な問題
磨童氏は今回、Xでの投稿停止という限定的な後退に留めた。だが、それは同時に、SNS全体が抱える構造問題を浮き彫りにしている。
・インフルエンサー1人の投稿が、芸能界や企業の意思決定に影響を与えてしまう現状
・誹謗中傷と告発の境界が曖昧になり、一般利用者にも“加担”が生まれやすい環境
・デマであっても広まった後の回収は極めて困難
・ファンコミュニティが私刑化することで、当事者不在の“裁き”が行われる風潮
発信者だけでなく、情報を受け取る社会の側にも課題がある。
暴露アカウントの時代は終わるか、形を変えて続くのか
XからInstagramストーリーへと、磨童氏の活動がよりクローズドな環境へと移行したことで、暴露文化が消えるかといえばそう単純ではない。むしろ、閉じた空間の方が過激な情報が流通しやすい危険性さえある。
今回の件は、SNSが“第二の司法”のように機能しはじめた日本のネット社会に、今一度「線引き」を考えさせる出来事となった。暴露か、告発か、誹謗中傷か。それを決めるのは、小さな投稿一つに反応する、我々なのかもしれない。



