
歌手の椎名林檎(46)が8月15日・16日に北海道で開催された音楽イベント「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2025 in EZO」に出演した。17年ぶりの同フェス出演で会場は大きな盛り上がりを見せたが、観客が振っていた旭日旗風のミニフラッグが波紋を呼んでいる。
過去のグッズが再び注目
問題となったのは、ステージ前方で観客が掲げていた旗が「旭日旗」に似ていたことだ。映像がテレビ番組やSNSに拡散されると、「軍国主義を連想させる」との批判が相次いだ。
一方で、旗は今回新たに販売されたものではなく、2008年以降に椎名の公演グッズとして発売された過去商品の可能性が高い。特に2014年、2018年のソロ公演「林檎博」で同様のデザインが確認されている。近年のグッズでは旭日旗モチーフは避けられており、昨年の「林檎博’24」ではリンゴや折鶴など別の図案が採用されていた。
音楽ライターによれば「今回フェスで映った旗は、過去の熱心なファンが持ち込んだものとみられる。会場で新規に販売された事実はない」という。
批判と擁護が交錯
ネット上では《戦後80年の節目にふさわしくない》《ファッション右翼的で不快》といった批判が寄せられる一方、《旭日は大漁旗などでも使われる吉兆の意匠》《朝日新聞の社旗は批判されないのは矛盾》と擁護する声も少なくない。
政府も過去に「旭日旗は太陽をかたどったデザインであり、特定の政治的・差別的主張ではない」との見解を示しているが、国際的には戦争の記憶と結びつけて否定的に捉える人もおり、国内外で認識が分かれている。
過去にも物議を呼んだグッズ
椎名をめぐっては、2022年に発売予定だったアルバム付属のグッズが「ヘルプマーク」や「赤十字マーク」に酷似しているとして批判を受け、発売延期となった経緯がある。この際、発売元のユニバーサルミュージックは「椎名本人が監修した制作物ではない」と説明したが、本人のコメントはなく、対応に失望する声も上がっていた。
表現をめぐる議論は今後も
旭日旗風デザインをめぐる議論は、2014年のサッカーワールドカップ公式曲「NIPPON」での歌詞批判など、椎名の表現活動に繰り返し伴ってきた。今回のフェスで新しい旭日旗風グッズは販売されていなかったが、過去の意匠が再び注目されたことで、アーティストの表現と社会的影響の境界をめぐる議論が改めて浮上している。