大学では准教授、裏ではメンエス経営者

「性風俗営業禁止区域で“メンズエステ”店を開き、性的サービスを提供していた」。
そんなスキャンダルの中心にいたのは、富山大学の現職准教授・滝谷弘(49)だった――。
富山地方検察庁は5月30日、風営法違反の罪で滝谷被告ら3人を起訴した。共に起訴されたのは、同店の代表・宮崎稔之被告(39)と、会社員の河野竜三被告(38)で、いずれも違法風俗店「メンズエステKOMOREBI」の運営に関与していたとされる。
営業の舞台となっていたのは、風俗営業が明確に禁じられている富山市内のアパート。いわゆる「メンズエステ」の名のもとに、女性スタッフが男性客に性的なサービスを提供する場となっていた。
滝谷被告はこの店でホームページの管理運営を担当し、広告や予約機能などの実務を担っていたとみられている。警察は一連の運営を「匿名流動型犯罪グループ=トクリュウ」によるものとみて、暴力団資金への還流の有無も含めて捜査を進めている。
“流体力学の准教授”が裏で手がけたKOMOREBIの実態
滝谷被告は富山大学総合情報基盤センター・学術情報サービス研究開発部門の准教授として、まさに「情報のプロ」。2016年度から2018年度には同センターの准教授を務め、2019年からは「学術研究部教育研究推進系」でも活躍していた。研究分野は流体力学と計算科学で、学生たちからも温厚な人物と見られていた。
だが一方で、裏の顔は「KOMOREBIグループの陰のオーナー」として、いわば“裏稼業”に手を染めていた疑いが強まっている。
SNSでは、「流体力学の知見を活かしてアロマの拡散計算でもしていたのか」「学術情報から風俗情報への華麗な転身」と皮肉交じりの声が相次ぐ。
メンエスKOMOREBIが人気の理由 “完全個室で極液オプション”
KOMOREBIは、セラピスト46名在籍という中規模クラスの営業実態を持つ。公式サイトでは「95%以上が地元女性」「完全プライベートサロン」「日常の疲れを癒す空間」とうたっているが、その内実はまさに“ギリギリ健全”を装った風俗営業だった。
特筆すべきは、施術メニューにある密着コース・極液オプション・衣装チェンジ(サンタコス・ベビードール)。料金は90分18,700円、180分で37,400円と高額だが、「がっつり密着と揉みほぐしがセット」という内容で、体験者の満足度は異様に高い。

口コミでは、
「肌寒くなると肌の温もりが恋しくなる。40代サラリーマン、だからこそメンエスが好きなんだよ」
「密着して、フェロモンを浴びたくなるような距離感。四つん這い施術では悶絶」
「マウスtoマウスになりそうな距離。ズリズリの胸に883(パフパフ)限界マックス」
といった生々しい体験談が並び、「健全なのにエロい」「常連には衣装が変わる特典付き」という、常連囲い込みシステムも整備されていた。
大麻所持・スカウト関与の美容師も起訴
この事件は、さらに波紋を広げている。富山市在住の美容師・柴田みのり被告(30)が、乾燥大麻約0.7グラムを所持していたとして逮捕・起訴された。警察によると、柴田被告は「KOMOREBI」のスカウト役として女性従業員のリクルート活動にも関わっていたとされ、職業安定法違反の容疑も視野に入れて捜査が続いている。
また、店関係者とみられる30代の女の車からも乾燥大麻が見つかり、同女も起訴されている。事態は風俗営業違反にとどまらず、薬物犯罪との結びつきが濃厚となってきている。
過去にはマルチ商法勧誘・クレカ詐取の前歴も
驚くべきは、今回が滝谷被告にとって「初犯」ではないという事実だ。2016年には、学生をマルチ商法に勧誘した上、他人名義のクレジットカードで自車に給油するという窃盗・詐欺容疑で逮捕されていた。
にもかかわらず、富山大学では長らく職務継続中だった。大学側は「事実関係を確認中」としているが、アカデミアにおける不祥事対応の甘さに疑問の声も上がる。
副業の域を超えた“裏の顔”に大学も沈黙
今回の事件は、単なる「副業」などというレベルではない。大学教授という立場を持ちながら、風俗店の運営・スカウト・大麻とのつながりといった“闇”に手を染めていた構図が浮かび上がる。
ネット上では「とんでもない副業」「これで学生にモラルを語っていたのか」といった批判が渦巻いている。

富山大学には、教育機関としての信頼回復に向けた説明責任が求められている。
「副業エロ」時代の象徴か、それともただの違法営業か
いまや副業が解禁され、多くの企業人が“もう一つの顔”を持つ時代である。農業、YouTuber、投資アドバイザー、そして密着系メンズエステ経営ときたもんだ。
もちろん、エロだって立派な副業である。癒しを提供することが、社会的にも精神的にも大切な営みであることに異論はない。大学の先生が疲れたサラリーマンの心と体をケアしてくれるなら、それはそれで夢のような話…に見えなくもない。
だが――違法はいかんよ、違法は。
学術情報を扱う頭脳派なら、その頭をもう少し社会のために使ってもらいたいところである。それが無理なら、いっそ開き直って、エロに全振りして“文部科学省非公認・密着系研究所”でも立ち上げてはどうか。
なまじ賢いばかりに、「ギリ健全」な風を装ったのかもしれないが、今回の騒動で社会から突きつけられたのは、「それ、アウトだよ」という極めてシンプルな現実である。
文武両道、エロ違法なし。これが令和の副業ルールである。