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明鏡止水名乗る蝶間林誠容疑者はなぜオンラインカジノStakeで280億円超を賭けられたのか

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なぜ蝶間林誠容疑者は280億円賭けられたのか? ステークのアフィリエイトの仕組み

警視庁は5月27日、SNS「X(旧Twitter)」で「明鏡止水」と名乗り、オンラインカジノ「ステーク(Stake)」のプレイ動画を投稿していた福島県いわき市の会社員・蝶間林誠(ちょうまばやし・まこと)容疑者(38)を、常習賭博の疑いで逮捕した。

蝶間林容疑者はステークで総額280億円超を賭けていたとみられ、個人での国内賭博額としては過去最大級となる。

 

SNSで「バカラのカリスマ」演出 “明鏡止水”の正体は虚構

 

蝶間林容疑者はSNSアカウント「明鏡止水」を名乗り、「バカラのカリスマ」として振る舞っていた。投稿には「一晩でプラス300万円」「今日の収支は300万勝ち」など、勝ち続ける姿が強調されていたが、実際には賭けに負けていたとみられている。

フォロワーは2万7000人を超えており、多くのユーザーが彼のリンクを通じてオンラインカジノに誘導されていた。その中心にあったのが、海外運営のオンラインカジノ「Stake(ステーク)」だった。

スマホ1台でアクセス可能 ステークで賭けた金額は280億円超

 

ステークは、スマートフォン1台で簡単にアクセスでき、現金や暗号資産で入出金が可能なオンラインカジノだ。蝶間林容疑者は2022年以降、このステークにアクセスし、バカラなどの賭博に総額9000万円以上を賭けたとされる。警視庁の捜査では、これまでに確認された累計賭け金は280億円を超えるとされ、違法賭博の中でも極めて異例の金額となっている。

勝者を装った投稿の目的は「アフィリエイト報酬」

SNS上で勝者を装っていた蝶間林容疑者の本当の目的は、アフィリエイト報酬だった。捜査関係者によると、彼はステーク側と成果報酬型のアフィリエイト契約を結んでおり、投稿に設置したリンクから利用者を誘導。そのユーザーが実際に賭けを行うことで、賭け金の一部が蝶間林容疑者に報酬として支払われていた。

この報酬体系は、ユーザー数とその賭け金に応じて報酬率が上がる仕組みとなっており、蝶間林容疑者は数百万円単位の利益をアフィリエイトから得ていたとみられている。警視庁は「自身が損をしていても“勝っているふり”をして他者を誘導する極めて悪質な構造だ」と述べている。

東京駅で静かに連行 「明鏡止水」とは程遠い姿

 

27日、東京駅で警察官に連行される蝶間林容疑者の姿が報道陣のカメラに捉えられた。落ち着いた様子で歩いていたが、時折顔を伏せるなど、その姿はSNS上の“華麗な勝者”とはまったく異なるものだった。

“明鏡止水”、本来は「澄み切った鏡と静かな水面」のような心の平穏を指す禅語であるが、今回の件ではその名前とは裏腹に、欲望と欺瞞に満ちた虚構の世界が明らかとなった。

ステークの広告は一時期格闘技イベントにも登場 知らずに違法行為に?

ステークは過去に格闘技やスポーツ関連の媒体に広告を出していた経緯もあり、SNSでは「無意識に違法賭博に手を出していたのでは」という声も上がっている。日本国内ではオンラインカジノの利用は違法であり、こうしたグレーなプロモーションが利用者を巻き込む温床となっている。

珍名“蝶間林”が注目されるも、その実態は虚飾まみれ

 

「蝶間林」という名字は全国で70人ほどしか確認されていない非常に珍しい姓で、越後(新潟県)に起源があるとされる。だが、その稀少性とは裏腹に、彼の行為はSNSの中でありふれた“偽りの成功者”の一例に過ぎなかった。

警視庁は、今後、蝶間林容疑者の資金の流れや報酬の総額をさらに詳しく調査するとともに、同様のアフィリエイト型勧誘行為に関与していた人物の洗い出しに着手する構えを見せている。

アフィリエイト報酬が可能にした「自己資金なき高額賭博」

蝶間林誠容疑者が280億円超という巨額をオンラインカジノに投じられた背景には、ステークと結んでいたアフィリエイト契約の存在が大きいとみられる。フォロワーに向けて勝利演出の投稿を繰り返し、そのリンク経由で利用者を誘導。彼らが入金し、賭博を行うたびに、賭け金の数%が「成果報酬」として蝶間林容疑者に還流していた。

こうして得た報酬は、時に1件数万円から数十万円にのぼり、利用者が増えるほど比例的に膨れ上がっていった。つまり、彼の“投資資金”は、自身が賭けた分というよりも、他人のギャンブル行為に乗じた構造的収益だったという点がポイントだ。

アフィリエイト収益が“自己資金”のように使われ、その循環によって高額賭博が繰り返された構図は、個人が破産を超えてシステム的に破滅へと向かう危険性を孕んでいる。ステークをはじめとする違法オンラインカジノとSNSを結びつけた新しい形の依存と犯罪の温床が、ここに浮かび上がった。

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寒天 かんたろう

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ライター歴26年。月刊誌記者を経て独立。企業経営者取材や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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