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エルアイイーエイチ、前社長の月1億円報酬騒動から再起を誓う新陣営を襲う「死亡事故隠蔽」の呪縛

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上場廃止のタイムリミットまで残り1カ月!

エルアイイ―エイチ
適時開示より

東証スタンダード市場に上場する株式会社エルアイイーエイチ(証券コード:5856)で、またしても耳を疑うような不祥事が発覚した。

同社は2月18日、突如として「特別調査委員会の設置に関するお知らせ」を発表。その内容は、前代未聞の暗黒期から必死に再起を図る新経営陣の努力を水泡に帰しかねない、底知れぬ闇を感じさせるものだった。

 

役員報酬「月1億円」、無断で12億円送金……前社長の暴走とガバナンス崩壊

事件の深層に迫る前に、まずは同社が抱える負の遺産について触れておこう。

エルアイイーエイチの経営状態は、数年前までまさに火の車だった。2023年3月期に2100万円の営業赤字を計上すると、翌24年3月期にはその額が15億円にまで膨れ上がり、資金繰りは極度に悪化。そんな沈みゆく船の中で、当時のトップは耳を疑うような行動に出る。

2024年8月、同社は前社長・福村康廣氏を代表取締役から解任した。ダイヤモンドなどの経済誌などでも大々的に報じられたその解任理由は、まさに上場企業におけるガバナンス崩壊を象徴するスキャンダルだった。多額の赤字を垂れ流す中、自身の役員報酬を不適切に「月額1億円」に引き上げようと画策。さらに、取締役会の承認を経ずに会社の口座から12億円を勝手に送金し、他の取締役に対するパワーハラスメントまで横行していたというのだ。

横領、パワハラ、会社の完全な私物化――。この異常事態を受け、同社の内部統制は完全に無効化されていると判断され、2025年3月27日、東京証券取引所から「特別注意銘柄」の指定を受けるという最悪の烙印を押された。

 

奮闘する新体制。「改善中」の背後から迫る過去の亡霊

正直なところ、現在の新経営陣たちがこの焼け野原から会社を立て直そうと、必死に頑張っている姿勢は確かに伝わってくる。泥をかぶりながらも市場の信頼回復に奔走してきたはずだ。

しかし、負の連鎖は止まらなかった。今回問題の舞台となったのは、横浜市中区に拠点を置く連結子会社の「株式会社なごみ設計」だ。同社は2020年に別会社へ譲渡された後、2024年7月に再び子会社化された、いわば「出戻り子会社」である。

今回の発表によると、このなごみ設計にて「これまで把握していなかった進行中の訴訟」が発覚したという。しかもその発端は、2023年4月18日に発生した死亡事故である。

 

エルアイイーエイチ側は、なごみ設計の株式取得を決議した2024年5月30日以前に起きた事故であり、「知らなかった」としている。しかし、呆れたことに当時のなごみ設計の取締役会議事録には、当時エルアイイーエイチの代表取締役であった人物(なごみ設計の取締役も兼務)が、少なくともこの死亡事故についての報告を受けていたことがバッチリ記載されていたというのだ。

前トップが重大な死亡事故の報告を受けていながら、親会社に隠蔽していた疑惑。新経営陣からすれば、まさに背後から撃たれたような衝撃だろう。さらにこれとは全く別に、なごみ設計の元従業員が取引先の従業員と共謀し、存在しない工事について900万円の架空請求をでっち上げたという疑惑まで飛び出し、泥沼の裁判が進行中だという。

 

運命の「指定から1年」と上場廃止へのカウントダウン

ここで最大の焦点となるのが、JPXの審査状況と、今回の「特別調査委員会設置」の異様なタイミングである。

日本取引所グループ(JPX)の公式サイトのリストを見れば、エルアイイーエイチの現在の審査状況は「改善中」となっている。しかし、JPXの厳格な規定では、特別注意銘柄に指定された企業は、「指定から1年経過後速やかに『内部管理体制確認書』を提出すること」が義務付けられている。そしてその審査で「内部管理体制等が適切に整備され、運用されていると認められない場合」は、無情にも上場廃止が決定するのだ。

つまり、エルアイイーエイチにとってのタイムリミットは、指定から丸1年となる2026年3月下旬。現在から数えて、残りわずか1カ月あまりしか残されていない。

 

本来であれば、この1年間は全社を挙げて内部管理体制を再構築し、JPXに対して「もう大丈夫だ」とアピールするための総仕上げの時期だった。新経営陣がどれだけ汗を流して健全化を図ろうとも、旧体制が残した「死亡事故隠蔽」や「架空請求」の爆弾が土壇場で炸裂してしまった形だ。

同社は利害関係を有しない外部の専門家で構成される特別調査委員会を設置し、事態の解明を急ぐ構えだ。しかし、この1年間「改善中」として立て直しを図ってきたにもかかわらず、子会社でこれほどのガバナンス不全が新たに発覚したことを、JPXの審査部門がどう見るかは火を見るより明らかだろう。

新経営陣は、前体制が残した分厚い暗雲を吹き飛ばし、目前に迫る上場廃止のカウントダウンから逃げ切ることができるのか。市場の視線は、かつてないほど厳しさを増している。

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寒天 かんたろう

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ライター歴26年。月刊誌記者を経て独立。企業経営者取材や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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