
神奈川県相模原市内の中学校付近で起きたとみられる女子生徒による暴行動画が、X上で急速に拡散し、大きな波紋を広げている。動画はInstagramのストーリーを撮影したものとされ、2024年頃に発生したとみられる出来事が、1月21日早朝にXへ初投稿された。投稿から数時間で数万件規模の反応が集まり、加害者を特定する情報や、遅刻を理由とした恐喝の疑いなど、未確認の詳細まで飛び交う事態となっている。学校や警察からの公式な確認はなく、被害者の二次被害を懸念する声が強まっている。
告発として上げられたストーリーが炎上の起点になった
今回の拡散の出発点は、暴行を面白半分で拡散する投稿ではなかった。
加害者側の先輩にあたる人物が、「こういうことは許されない」との問題意識から、Instagramのストーリー機能で動画を共有したとされている。身内であっても不正を見過ごさず、行為そのものを告発しようとした意図だったとみられる。
この点について、X上でも「身内から声が上がったこと自体は重要」「止めようとした姿勢は評価すべきだ」といった冷静な受け止めが一定数見られた。
一方で、そのストーリーが保存され、第三者によってXへ転載された瞬間、文脈は切り落とされ、映像だけが独り歩きを始めた。
Xでは「告発と拡散は別物」「正義感でも結果的に被害者を晒すなら考え直すべきだ」といった指摘も広がっており、善意の問題提起が炎上装置へと変質していくSNS特有の危うさが浮き彫りになっている。
男子中心だった暴行動画の流れが女子にも及んだ現実
暴行は男女を問わず犯罪であり、性別によって行為の重さが変わるものではない。
その前提を踏まえたうえで、今回の動画が強い衝撃を与えている背景には、これまでSNS上で大炎上してきた暴行動画の多くが男子生徒によるものだったという事実がある。
殴る、蹴る、複数で1人を囲むといった構図は過去にも繰り返されてきたが、今回、それが女子生徒によって行われていたとされることで、「ついにここまで広がったのか」という受け止めが広がった。
X上では「男子女子の問題じゃない」「誰でも加害者になり得る環境が怖い」「暴力が日常化していることの方が問題だ」といった声が多く、性別論に回収されることなく、構造そのものへの危機感が共有されている。暴力が特定の属性に限定されたものではなく、集団心理と環境次第で再生産される現実が、改めて突き付けられた形だ。
遅刻を口実にした暴行と恐喝疑惑 Xに広がる強い拒絶感
X上で流通している情報では、被害者が集合時間に遅刻してきたことに腹を立て、加害者側が集団で暴行に及んだとされる。殴る、蹴るといった行為の後、金銭を要求したとの投稿も相次いでいる。
さらに、暴行後に被害者を地面に座らせ、加害者一人一人に対して土下座で謝罪させた、たばこの灰をかけられたといった内容まで拡散されている。これらは公式に確認された事実ではないが、描かれている行為はいずれも深刻だ。
Xでは「遅刻したから殴る理由になるわけがない」「これはいじめではなく完全に暴力」「恐喝まで事実なら犯罪だ」といった反応が目立つ。教師でも警察でもない立場の生徒が、集団で私的制裁を加える構図に対し、強い拒絶感が共有されている。
「仲直り」「返金」発言と主犯格の構図 繰り返される暴力の型
事態発覚後、加害者側とされる人物がInstagramのライブ配信で、「その後は仲直りしている」「お金も返している」と語ったとされる動画も見つかっている。
この発言について、Xでは「仲直りで済む話ではない」「許すかどうかを決める立場ではない」「被害者が本当に断れる状況だったのか」といった批判が相次いだ。
同時に、過去のいじめ動画と共通する構図を指摘する声も多い。被害者は常に1人で、加害者側は複数人。主犯格とされる人物は、単独では何もできず、必ず仲間を引き連れて行動する。
X上では「1人じゃ何もできないから数で囲む」「一番弱いのは加害者の方ではないか」といった辛辣な意見も見られ、集団心理によって暴力が増幅される構造そのものへの批判が強まっている。
被害者を最優先に守る責任 学校と社会に突き付けられた課題
現在までに、学校側や教育委員会、警察からの公式な確認や説明は出ていない。
事実関係が明らかでないまま、SNS上の情報だけが先行し、被害者の氏名や通学先といった個人情報に踏み込む投稿も見られる。Xでは「これ以上被害者を晒すな」「正義感が二次被害を生む」といった声も確実に増えている。
文部科学省のデータでは、学校における暴力行為はいじめを含め増加傾向にあるとされ、専門家はSNSの影響を指摘している。暴力が撮影され、拡散されることで、行為の重さが軽視され、炎上の材料として消費されてしまう危険性がある。
今回の事案で最優先されるべきは、被害者の安全と尊厳を守ることだ。学校や関係機関には、世論の大きさに流されることなく、事実関係を慎重に確認し、これ以上被害者が晒されない環境を整える対応が強く求められている。
男女を問わず、集団で行われる暴行は明確な犯罪であり、決して許されない。その当たり前の線を、社会が改めて引き直す必要がある。



