
リユースカップ「Circloop」が累計100万回利用を突破した。紙コップ依存からの脱却を促す仕組みが、企業やイベントに広がり始めている。体験価値を損なわずに環境負荷を減らす新モデルが注目を集める。
Circloopが累計100万回利用突破、紙コップ6トン・CO₂43トンを削減
リユース容器のシェアリングサービスを展開する株式会社Circloop(東京都港区)は、サービスの累計利用回数が100万回を突破したと発表した。洗浄・回収・配送を一体化した循環型モデルを軸に、オフィスやイベント領域で採用が加速している。
同社の算出によれば、これまでに削減された使い捨てカップの廃棄量は約6トン、CO₂削減量は約43トンに達した。単に紙コップを置き換えるだけで大幅な環境負荷の低減につながる点は、企業・自治体が抱えてきたゴミ削減の課題に対し、実効性のある解を提示している。
循環型の仕組みが現場に根づくにつれ、「捨てることを前提にしない運営」が現実味を帯びてきたことを示す節目となった。
“紙コップの欠点をすべて解消”するCircloopの仕組みとは
Circloopの特徴は、環境対策としての評価にとどまらない点にある。ユーザー体験を損なわず、むしろ向上させるデザインと運用の仕組みが、高い導入効果を生んでいる。
象徴的な採用例が、「サステナブルコスメアワード」関連イベントだ。SDGs視点で化粧品を評価する同アワードでは、イベント運営側が大量に排出されるゴミに課題を抱えていた。そこでCircloopが採用され、デザイン性と循環のスムーズさが評価された。
参加者からは「紙コップ特有の匂いがない」「罪悪感なく次のドリンクを楽しめる」などの声が寄せられた。味や香りを損なわない点は、提供飲料の質を重視するイベントにおいて決定的な差別化ポイントとなった。
返却ボックスを起点とした回収動線の最適化や、手に取りたくなるデザインによって、行動変容を“無意識のうち”に生み出す点がこのサービスの独自性である。
Circloopが支持される理由は“環境意識”ではなく“体験価値”にある
Circloopの根底にあるのは、「環境のために努力する」という姿勢を前提にしない哲学だ。IoTを活用した管理、返却のしやすさ、運営負荷の少ない導線設計──これらはすべて、利用者が“意識せずとも”環境に貢献できる社会の実現を意図している。
使い捨て文化に依存してきたオフィスやイベント運営にとって、この“無意識のアクション”を誘発するアプローチは新しい。強制ではなく、自然なふるまいの延長で環境行動を根づかせるという視点が、企業や主催者に受け入れられる理由となっている。
循環を前提としたサービスモデルが社会に浸透するには、利便性と体験の質を同時に高める設計が不可欠であることを、Circloopの成長は示している。
企業やイベントが紙コップをやめると何が変わるのか

Circloopの100万回突破が示唆するのは、環境配慮は「意識より設計」で実現できるという点だ。紙コップ廃止は難しいとされてきたが、仕組みが整えば利用者のストレスはむしろ軽減され、体験価値が向上する。
大量消費が発生するイベントほど循環型モデルの効果は大きく、ゴミ削減とブランド価値の向上を同時に達成できる。オフィスでは、社員の行動変容を負担なく誘発でき、企業のESG経営にとっても効果が大きい。
都市生活のあらゆる場面でリユースが当たり前になる未来は、決して遠い話ではない。循環型の仕組みが広がれば、「使い捨て前提」という既存の常識は確実に塗り替わっていくだろう。
環境配慮と体験価値の両立を目指す企業にとって、Circloopはその変化の象徴的な存在となりつつある。



