
アイドルグループ「嵐」が2026年春に活動を終了すると発表しているなか、メンバーの二宮和也さん(42歳)が2025年11月23日、自身のXに「やっちまった、、、」と投稿し波紋を広げている。
投稿の意図は明かされていないものの、SNSではラストツアー初日となる札幌公演が北海道大学の後期日程入試と時期的に接近している点に注目が集まり、「受験生への影響」「宿泊費の高騰」などの議論が広がっている。
ツアー発表と活動終了の経緯
嵐は2025年5月6日、公式Xを通じて「再び5人で集まり、嵐として来年の春頃に予定しているコンサートツアー開催に向けて動き始めます」と報告し、「このツアーをもちまして、嵐としての活動を終了いたします」と宣言した。
その後、11月22日に発表された「ARASHI LIVE TOUR 2026『We are ARASHI』」は全国5大ドームで全15公演を行う大規模ツアーとなり、初日は2026年3月13日からの札幌公演に設定された。会場は大和ハウスプレミストドーム(札幌ドーム、札幌市豊平区)。活動終了前の最後のツアーとあって、発表時点から高い注目を集めていた。
二宮和也の「やっちまった、、、」投稿が火種に
翌23日、二宮さんが投稿したのは、ただ一言の短いメッセージだった。
「やっちまった、、、」
説明は一切添えられていないが、リプライ欄はすぐにツアー日程に関連づける声であふれた。
「コンサートの日程、変更できないの?」
「札幌、受験と重なるのでは…」
投稿の真意は明らかになっていない。それでも、ファンからは「心配してくれているのか」と受け取る向きもあれば、「憶測で騒ぐべきではない」という声まで、反応は広範だった。だが、結果的に“札幌公演と北大受験の時期接近”という論点に火をつける形となり、SNSでは短期間で議論が集中した。
北海道大学後期日程入試との“時期接近”が焦点
北海道大学の2026年度一般選抜・後期日程試験は3月12日に行われる見通しだ。一方、嵐の札幌公演は13日から15日までの3日間。宿泊や移動の集中が起きるタイミングとほぼ一致しているため、「実質的な競合になる」との指摘が出ている。
地方都市では、大学入試と大型イベントが接近すると宿泊施設が早期に埋まり、料金が急騰することが知られている。札幌も例外ではなく、試験のために道外から移動してくる受験生が多いことを踏まえると、ホテル不足や航空券高騰の影響を受けやすい構図だ。こうした事情からSNSでは、
「受験の前日に泊まる場所がないと困る」
「航空券が高騰して受験生が不利になる」
など、切実な声が相次いだ。
巻き起こるファンと受験生の声、溝と配慮
一方でファンからは、5人でのラストツアーを見届けたいという熱意が強く、
「ようやく発表されたツアー日程。大切な初日だから絶対に行きたい」
という声も多い。
とはいえ、受験シーズンとの接近を踏まえ、互いの負担を少しでも減らそうとする“自主的な配慮の呼びかけ”も広がっている。
・ファンは会場近隣の豊平区などに宿泊先を確保し、受験生とバッティングしにくい動線をとる
・受験生には、北海道大学生活協同組合が案内する「受験宿泊・フライトパック」などを活用し、確実な移動・宿泊を確保する
こうした分散案は、対立を深めるのではなく、双方が居場所を確保するための工夫として一定の評価を得ている。
入試×大型興行の過去事例
大学入試と大型興行が同じ時期に重なり、宿泊・交通の逼迫が問題化した例は各地で散発している。特に大学周辺の宿泊需要が一気に跳ね上がる“入試シーズン”は、ほかの大規模イベントと重なると影響が顕著になりやすい。
まず指摘されるのが、2018年の福岡市でのケースだ。九州大学の入試期間中に市内で人気アーティストのコンサートが複数公演行われ、宿泊施設の確保が困難になったと地元紙が報じた。
受験生から「前日泊が取れない」「ビジネスホテルが通常の数倍に高騰している」といった声が上がったことにより、交通・観光分野でも“受験期と興行の競合”という構図への問題意識が広がった。
札幌市でも、冬季スポーツ大会や大規模展示会が受験日程と重なった際、宿泊予約が早期に埋まり、受験生がやむを得ず市外に宿を取るケースが指摘されている。札幌は観光都市として宿泊需要が幅広く、閑散期と繁忙期の差が大きい。とりわけ3月は春休み旅行やスポーツイベント、企業の年度切り替えに伴う移動需要も重なり、ホテル相場が変動しやすいことが知られている。
関東でも、首都圏の大学受験期間と東京ドームでの大型ライブが接近し、宿泊サイトの検索需要が急増した例がある。地方と異なりホテル数は多いものの、ライブ来場者の“前泊需要”と受験生の“安全確保需要”がぶつかることで、都心部であっても価格高騰や交通混雑が発生しやすい。
旅行代理店関係者によれば、受験シーズンに東京ドームで複数アーティストのライブが重なる場合、都内ビジネスホテルのシングル利用料金が通常期の1.5倍以上になることもあるという。
こうした事例が示すのは、「入試と興行のどちらが悪い」という単純な話ではなく、都市インフラが支えられるキャパシティの限界である。大学側は特定の日程で受験生を受け入れる立場にあり、興行側も全国ツアーのスケジュールや会場の空き状況によって日程調整の幅が限られる。さらに自治体としても、観光・経済への影響を抑えながら公共性の高い受験環境を整備する必要があり、各プレーヤーが独立した事情を抱える。
その結果、複数の大きな需要が一点に集中したとき、宿泊・交通・市街地の動線などでひずみが生まれやすくなる。今回の“札幌×嵐ツアー×北大後期日程”の構図は、こうした全国で見られた課題の延長線上に位置づけられる。いわば、過去事例が繰り返し示してきた「社会インフラの限界点」が再び議論の俎上に載った形だ。
“社会的調整”として問われる視点と今後
今回の論点は、文化興行と教育機会という異なる性質のイベントが、同一地域の宿泊・交通インフラを同時に必要とする際の“調整可能性”を示している。ツアー日程を組む段階で地域の学事日程をどこまで考慮すべきか、自治体や大学との情報共有をどう図るべきか、市内交通のキャパシティをどう平準化するか。いずれも簡単な解決策はないが、今回の“時期接近問題”は、こうした社会的課題を可視化したとも言える。
二宮さんの投稿をきっかけに議論が広がった今回の問題は、単に芸能情報の範囲にとどまらない。ファンは5人の晴れ舞台を見届けたいと願い、受験生は人生の節目に向けて最良の環境を求めている。双方の思いが交錯する中で、必要なのは対立ではなく、情報共有と配慮の積み重ねだ。札幌市や大学、興行側が今後どのような対応を打ち出すのか。2026年春へ向け、注目は続くだろう。



