
年末の音楽界を締めくくる「第67回輝く!日本レコード大賞」の各賞が11月21日に発表された。大賞候補の優秀作品賞10曲、新人賞4組をはじめ、特別賞や主要部門の受賞者が明らかとなった。
大賞および最優秀新人賞は12月30日の授賞式で決定する。2020年から2024年までの大賞受賞作品を振り返りながら、今年の傾向を探る。
今年の優秀作品賞10曲
今年の音楽シーンを象徴する10曲が、例年通り50音順で発表された。
- 「Almond Chocolate」ILLIT
- 「イイじゃん」M!LK
- 「かがみ」FRUITS ZIPPER
- 「革命道中 – On The Way」アイナ・ジ・エンド
- 「恋風」幾田りら
- 「ダーリン」Mrs. GREEN APPLE
- 「倍倍FIGHT!」CANDY TUNE
- 「Fun! Fun! Fun!」新浜レオン
- 「二人だけの秘密」純烈
- 「夢中」BE:FIRST
今年もアイドル、ダンスボーカル、歌謡曲と多様なジャンルが並び、“多極化する日本の音楽市場”をそのまま反映した構図となった。近年連覇中のMrs. GREEN APPLEが候補に入った点も関心を集める。
最優秀新人賞候補の4組
新人賞にはCUTIE STREET、SHOW-WA & MATSURI、HANA、BOYNEXTDOORの4組が選出された。今年の音楽シーンの広がりを象徴する顔ぶれであり、スタイルの多様性が際立つ。
CUTIE STREET
女性ボーカルを中心としたポップ志向の新グループで、軽快なメロディと王道アイドルらしいビジュアルが特徴。デビュー直後からイベント出演も相次ぎ、若年層からの支持が強い。
SHOW-WA & MATSURI
昭和歌謡と現代のダンスミュージックを掛け合わせたユニット。ノスタルジックなフレーズと現代的アレンジの融合が魅力で、幅広い世代のリスナーが注目している。
HANA
透明感のある声質を持つソロシンガーで、感情表現の丁寧さが持ち味。バラード曲を中心に配信チャートを伸ばしており、音楽性の高さで評価される存在だ。
BOYNEXTDOOR
韓国の大手レーベル傘下で活動する6人組ボーイズグループ。繊細なボーカルワークとダンスパフォーマンスが強みで、日本でも確実にファン層を拡大している。国際的な発信力を持つグループが新人賞候補に入った点は象徴的で、いまの音楽環境を象徴する動きといえる。
各特別賞・主要部門
特別アルバム賞には藤井風「Prema」、特別国際音楽賞にはAdoと&TEAMが選ばれた。特別賞には映画「国宝」、細川たかし、松田聖子、矢沢永吉が名を連ね、功労賞にはアイ・ジョージ、いしだあゆみ、川村栄二らが選ばれた。作曲賞はDa-iCE「ノンフィクションズ」の工藤大輝と花村想太、作詩賞は=LOVE「とくべチュ、して」の指原莉乃、編曲賞には佐藤和豊が輝いた。
過去5年(2020〜2024年)の大賞受賞作
今年の大賞予測の手がかりとして、直近5年の受賞作を確認しておきたい。
2020年
LiSA「炎」
映画「鬼滅の刃」主題歌として圧倒的存在感を示し、年間を代表する楽曲となった。
2021年
Da-iCE「CITRUS」
ドラマ主題歌をきっかけに広く浸透し、力強い歌唱と構成美が評価された。
2022年
SEKAI NO OWARI「Habit」
振付動画がSNSで爆発的に広がり、配信時代を象徴するヒットとして記憶される。
2023年
Mrs. GREEN APPLE「ケセラセラ」
普遍的なメロディラインと歌詞が幅広い年代を捉え、初の大賞受賞に至った。
2024年
Mrs. GREEN APPLE「ライラック」
前年に続く大賞連覇。楽曲の完成度とパフォーマンス力が高く評価された。
受賞傾向と“今年の本命”
2020年代の受賞傾向には明確な特徴がある。SNSを中心とした拡散力、ストリーミング時代の強さ、そしてポップスの普遍性が決定的に重視されている点だ。特に2022年「Habit」に象徴されるように、オンラインでの話題性が審査結果に強く影響しうる。
今年の優秀作品賞を見ても、SNS発信力を持つFRUITS ZIPPERやBE:FIRST、安定した人気を誇るMrs. GREEN APPLEなど、いずれも現代的な強さを備えている。アイナ・ジ・エンドの表現力も評価が高く、受賞予測は例年以上に読みにくい状況だ。
まとめ
第67回日本レコード大賞は12月30日に生放送で届けられ、大賞と最優秀新人賞が決定する。音楽市場の多様化と国際化が進むなか、どの作品が“今年の象徴”となるのか。過去5年の傾向を踏まえつつ、結果を待ちたい。



