
立憲民主党が今夏の参院選比例代表に、2024年東京都知事選で落選した蓮舫氏(57)を擁立する方向で調整を進めていることが分かった。関係者によると、立憲は蓮舫氏の擁立について、同党を支援する産業別労組側にも伝えているという。
国政は考えていないといったのに……
蓮舫氏は2024年7月の東京都知事選に無所属で立候補し、小池百合子都知事、石丸伸二前広島県安芸高田市長に次ぐ3位に終わった。しかし、約128万票を獲得し、知名度の高さを維持している。立憲は、今回の参院選で与党の改選過半数割れを目指す方針を掲げており、比例票の掘り起こしを狙って蓮舫氏の擁立を進めているとみられる。
だが、蓮舫氏自身は都知事選直後、自身のインスタグラムで「国政選挙はもう考えていない」と発言していた。その理由について「120万を超える人が『蓮舫』と書いてくれた。これで国政に戻ったら渡り鳥みたいだ」と語っていたが、今回の出馬により自らの発言を覆す形となる。ネット上では「ついに渡り鳥になりますか」「政治家は嘘つきだと証明された」などと皮肉交じりの声が飛び交っている。
二重国籍問題の説明責任と立憲民主党の節操のなさ
そもそも蓮舫氏には「二重国籍問題」という過去の論争がある。これについて、国民有権者に明確な説明をするべきではないか。台湾籍の有無を巡る問題は、日本政府が台湾を国家承認していないことが影響している。台湾の法律では外国籍を取得しても台湾籍を放棄しない限り国籍は残る。一方、中国の場合は外国籍を取得した瞬間に中国籍を失う。蓮舫氏は台湾籍を持っていると思い込んでいたが、日本政府の立場上、彼女が日本国籍を取得した瞬間に中国籍(台湾籍)は失われていたという理屈だ。
そのため、蓮舫氏が台湾当局から国籍喪失許可証を取得した際にも、日本の法務省は「台湾当局の証明書は受理しない」として手続きが完了しない状態が続いた。この問題は法務省側の対応の問題でもあり、リアルの政治の場ではもはや問題視されていないが、ネット上ではいまだに批判の的となっている。
なぜなら、この問題については少なくとも以下の未解決の論点があるからだ。これらが整理されない限り批判は続くだろう。
- 時系列の曖昧さ:蓮舫氏の国籍問題に関する経緯が矛盾なく整理されておらず、明確な説明がないこと。
- 引責の必要性の不明確さ:時系列が曖昧であるため、彼女がどの時点でどのような責任を負うべきかが明確になっていないこと。
- 発言の不確実性と責任問題:蓮舫氏は記憶に頼った発言を繰り返しており、それが結果的に事実と異なる場合でも自身の発言の誤りを認めないため、問題の整理が困難になっていること。
- 過失責任の範囲の不確定性:確定情報がないため、彼女の国籍問題においてどこまでを過失責任として問うべきかが決まらない。
これらの問題が解決しない限り、二重国籍問題は終わることはない。特に③と④の整理ができなければ①の時系列の矛盾も解消できず、結果的に②の引責問題も決着しないため、蓮舫氏自身が明確な説明を行うことが求められる。
批判ばかりの旧時代スタイルはアップデートされているのか?
また、立憲民主党が蓮舫氏を比例で擁立することについても疑問の声は多い。蓮舫氏の政治スタイルは何でもかんでも「批判」から始まることで知られており、令和の時代においては国会で声を荒げる批判合戦はもはや求められていない。都知事選で敗れ、しばらく静観するかと思いきや、結局裏で動いていたというのが実態である。
さらに、現在の国政では物価高、ガソリン高騰、米不足などの深刻な問題に国民が苦しんでいる状況だ。知名度があるからといって、比例代表制のもとで蓮舫氏が当選するとは限らない。そもそも「比例」という制度自体が不要ではないかという意見もある。立憲民主党がこうした状況下で蓮舫氏を担ぎ上げることには、節操のなさを指摘せざるを得ない。
政治家にとって、発言の整合性は重要な要素である。「国政には戻らない」と明言していた人物が、わずか数カ月後に再び国政復帰を目指すのは、有権者を軽視した行動と見られても仕方がないだろう。