「異例ずくめ」の日米首脳会談が話題に
![日米首脳会談](https://coki.jp/wp-content/uploads/2025/02/Japan-U.S.-summit-meeting.jpg)
石破茂首相が訪米し、トランプ米大統領と初の首脳会談を行った。短期間の「弾丸出張」であったにもかかわらず、首脳会談の多くがメディアに公開される異例の展開となり、両者のやりとりが詳細に伝えられた。共同記者会見でも、トランプ大統領の配慮が随所に見られ、日米関係の重要性を再確認する場となった。
トランプ大統領、石破首相を“気遣う”場面も
現地時間7日、ワシントンのホワイトハウスで行われた日米首脳会談は、異例の展開となった。予定されていた30分の会談のうち、20分以上がメディアに公開され、両首脳のやり取りが逐一報じられた。
石破首相が日本の対米投資額の大きさを強調すると、トランプ大統領は貿易赤字の問題を指摘。さらに、石破首相が「いすゞがアメリカに新工場を設立する」と表明する場面もあった。本来は非公開の場で話す予定だった内容まで公になったことについて、日本側の関係者は「想定外の展開だった」と語る。
共同会見でも異例の対応が続いた。通常は各国首脳が自国メディアを指名するが、この日はトランプ大統領がすべての指名権を握った。結果、日本メディアが指名されたのは2社のみだった。それでもトランプ大統領は、石破首相の発言に対して「これは賢い回答だ」と持ち上げるなど、随所に気遣いを見せた。
日本国内の反応は?総じて高評価が多数
今回の会談について、日本国内ではおおむね肯定的な声が多かった。外務省幹部は「トランプ大統領が石破首相を気遣っていたのが印象的だった」と語り、政府高官も「和やかな雰囲気だった」と評価した。野党からは「お土産外交だ」と批判的な意見も聞かれたが、全体としては「外交デビューとしては悪くない」との見方が強い。
国民民主党の玉木雄一郎代表(役職停止中)も自身のXで「素晴らしい日米首脳会談だった」と高く評価し、「強固な日米関係が世界の平和と安定に寄与することを期待する」と投稿した。
田崎史郎氏「外交の懸念は払拭された」と評価
テレビ番組に出演した田崎史郎氏は、石破首相の外交力について「今回の会談で懸念は払拭された」と評価した。
「日本国民の多くが抱いていた『石破首相はトランプ氏とうまくやれるのか』という不安は、今回の会談で一定程度解消されたのではないか」と述べ、外交デビューとしては成功といえるとの見解を示した。
今後の課題は?貿易・関税交渉が焦点に
今回の会談では、日米間の貿易赤字や関税問題、さらには日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画など、引き続き協議が必要な課題も浮き彫りとなった。特に、トランプ大統領が日本の対米投資を歓迎しつつも「関税の選択肢はある」と述べた点は、日本側にとって警戒すべきポイントだ。
それでも、首相周辺は「まずは一山越えた」と語り、石破首相自身も帰国の途につく際に「ひとまず無難に終えられた」と安堵の表情を見せたという。
トランプ大統領は、かつて安倍晋三元首相と緊密な関係を築いていたが、石破首相についても「偉大な首相になるだろう」と持ち上げる場面があった。現段階ではリップサービスの要素が強いものの、今後の関係構築次第では、より実質的なパートナーシップへと発展する可能性もある。
初の日米首脳会談としては、異例の展開が相次いだものの、大きな混乱なく終了したことで、まずは合格点をつける向きが多い。ただし、今後の外交交渉は決して平坦ではない。今回の成果を足がかりに、具体的な交渉でどこまで実績を残せるかが問われることになる。