(この記事は「ETF STREAM」からの引用・要約です)
英国政府は、ESGデータを提供する業者について、金融行政監視機構の規制下に置くことについて検討を開始しました。
本年10月に発表された英国財務省の報告書「Greening Finance: A Roadmap to Sustainable Investing」は、持続可能性に関する開示要件の枠組みを説明するものです。この報告書は、様々な業者が提供しているESG関連のデータについて、現実とのギャップや仮定が多く、複数データ間の比較が不可能な場合もあるため、グリーンウォッシュ(一見、環境に配慮しているように見せかけて、実態はそうではなく、環境意識の高い消費者に誤解を与えるようなこと)の影響を受けやすいと指摘しています。
同報告書では、ESG格付け機関やデータ提供社がこれらのリスクを適切に管理するためには、強いガバナンスを保持することが必要で、英国の金融行政監視機構の監視対象にそれら機関などを置くことの必要性が述べられています。英国政府は2022年に本件についてさらなる詳細を公表する予定です。この報告書は、サステナビリティをテーマにした投資がブームになる中で、金融業界がESG投資に大きくシフトしていることを受けたものと考えられています。
経営コンサルタント会社Optimas社によれば、格付け、データ、検証などのESG関連サービスのプロバイダーは、今後数年間で大きく成長し、2021年末には10億ドルの大台に乗る可能性があると予想されています。
あるシンクタンクの調査によれば、ESG評価フレームワークの数は、異なる産業や地域にまたがって少なくとも400以上も存在すると言われており、投資家がこれらすべてのフレームワークを評価することは困難であるため、情報の格差を利用したグリーンウォッシュ問題の発生につながる可能性があると考えられています。
また、同報告書では、「持続可能な開示要件(SDR)」の枠組みについても説明しています。これは、すべての投資商品に対し、財務上の活動が環境に与える好影響や持続可能性が謳われる場合に、これらの根拠について明確に説明することを求めるものです。この制度では、気候関連の既存の投資商品に関する報告義務の合理化も検討されているとのことです。
https://www.etfstream.com/news/uk-government-mulls-regulation-of-esg-data-providers/
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